勅を奉るに請に依れ

助からないと思っても助かっている

永い夜の物語


良かった。すごく良かった。素晴らしかった。

なぜなら、
蓬莱人の持つ、「永遠」の意味
東方という世界の「真理」
この2つが、考えうる限り最上の優しさを持って結論付けされていたから。

永遠の命っていうのはもうまったく絶望的なものだし、幻想郷は幻想郷で永遠じゃないんだからいつか滅ぶものだしで、とかく「永遠」なんて単語がつくとろくなことがない。でもこの作品では、永遠と永遠ではないもの、両者が救われるような明確な答えが用意してあって、それが優しくて、それが最高に気持がいい。

輝夜も、妹紅も、その2人だけじゃなくて、誰もが何かを喪失していて、でもそれが全て悲劇じゃない、なぜなら──
という結論は、すごく単純なもので、単純なだけに、わりあい唐突にオチるんだけど、それを理解して納得して感動できるような、それまでの物語構成に感心し、ラストにとてつもないインパクトと多幸感を感じさせるカラー挿絵に脱帽した。単なるハッピーエンドではなく、「あぁこれでいいんだ」と、何かパズルが解けたような、スッキリと幸せな読後感。まったくいい意味で予想外だった。


もしかすると、永遠の命もそんなに悪いものじゃないかもなぁ。



永夜抄
『永い夜の物語』(四面楚歌)