勅を奉るに請に依れ

助からないと思っても助かっている

『へうげもの』と『利休にたずねよ』

どちらも面白かった。

「へうげ」のほうは言うことが無さ過ぎて困るレベル。待ちに待った光秀の「五・七・五」がやっと回収されて俺歓喜。次巻で利休切腹までいくかどうかはわからないけど、そのときは信長様以上のアツいセリフを吐くのか、それとも静かに枯れるのか、今からwktkが止まらない。
キャラが立ちすぎている脇役の今後の活躍にも期待大。正宗可愛すぎるだろ。


「利休に」も面白かった。直木賞これでいいのかよ?と思わなくもなかったけど、セリフいっぱい改行いっぱいで、単純に読みやすかった。内容、各キャラクターの言動もテンプレ通りで、特に疑問もなくスイスイ読めるものだと思う。

簡単に内容を言うなら、「利休は何でそんなに美を求めるの?」「昔の女のせいです」っていうお話で、それ自体は悪くないんだけど、如何せん描き込みが足りないというか、言っちゃえば、利休の業が足りない気がする。

それぞれ一人称が異なる短編のオムニバス形式で、そうすることによって、利休を多面的に、立体的に浮かびあげようとしているんだけど、実際は「利休すごい、強欲で貪欲だね その源は女じゃね」で諸人一致していて、結局は利休の巨人っぷりを一面的に描いただけのように感じる。肝心の利休のエピソードも、「死んでしまったがために唯一絶対ものとなった」っていう20年前の漫画で使い古されているようなもので、はっきり言って拍子抜けした。それはそれでアリだとも思うんだけど、一番盛り上がるべきシーンが非常に淡白に描かれていて、(多分私が作者の意を読み取れてないと思うんだけど)すごく物足りなかった。女を一人殺した、そのときの心の動きをもっとねっとり描いてくれれば、利休が命を顧みずに美を追求した理由として納得できるものになったんだけどな。

という自分でもちょっと意外な感想になったわけだけども(直木賞に期待しすぎた?)、面白いのは間違いなく、歴史好きなら読んで損はないレベル。「へうげ」ファンならマストアイテム…とまではいかなくても、両作者の利休に対する微妙な解釈の違いなんかは楽しいと思う。


貸してくれたkさんありがとうございました^q^



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「へうげ」利休の業の深さなんなの?作者は何回絶望させるんだよ。参ったねほんと。

あと、僕の肛門も家康様に開墾されそうです><